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◉2月マンスリーセレクト『三姉妹〜雲南の子』上映会レポート

2月のマンスリーセレクトは、2月16日(土)に行われました。今月の作品は、ワン・ビン監督の『三姉妹〜雲南の子』。

中国でも最も貧しいとされる雲南地方の貧しい山村に暮らす幼い3姉妹の暮らしを、淡々とフィルムに収めた本作品。姉妹の母親は、子供たちを捨てて村を出ました。父親は、町に出稼ぎに行ってしまいました。標高3200メートルの村に残された3人(10歳、6歳、4歳)は、農作業はもとより重労働な家畜の世話まで自分たちで行なっています。

近年、めざましい経済発展が喧伝される中国にあって、このような貧困の、いや、日本で語られる「貧困」のイメージをはるかに超えた現実を、ありのままに淡々と映し出す本作をシネマ・デ・アエルで観た方々は、こうコメントします。

「もっと長く作品世界に浸っていたかった」 「中国の経済格差の大きさが良く分かった」 「撮影時(2011年)から8年経って、今、三姉妹がどうしているのか気にかかる」

2時間を超える153分という長時間、しかも特段の演出もなく、ただ中国の子供の日常を写しただけのシンプルな作品にもかかわらず、「もっと浸っていたかった」とコメントさせるところに、観るものを引き込んでしまうこの作品、たくましく生きる三姉妹の凄まじさが感じられるのではないでしょうか。

また、目覚ましい経済発展とは全く対照的な現実を知ったというコメントに見られるように、ふだんの生活ではなかなか知ることのできない(多くの場合は夢物語の裏側にある現実の)世界や人々の抱える現実や問題を、スクリーンを通して見て、知ることができるのも、優れたドキュメンタリー映画の良さの一つではないでしょうか。

そして、作品を通して思ったこと、感じたことを、語り合うのも良いものです。シネマ・デ・アエルは、作品そのものに出合えるだけでなく、同じ作品を観た人の感じたことや、あるいはその人とも出会える場です。

ドキュメンタリー映画、特に子どもを追った作品では、「この子たちはどうなったんだろう?」というコメントはよく聞かれます。2時間という時間を、その子どもたちと共有し、何らかの共感やよりそいの思いを抱いたからこその、やはり“その後”が気になる気持ちって、とても分かりますよね。

◉作品ファイル: 『三姉妹〜雲南の子』(2012年/フランス・香港合作/153分 監督:ワン・ビン) http://moviola.jp/sanshimai/ セレクター:井田裕基(プロジェクトメンバー)

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シネマ・デ・アエルでは、上映会に際してカフェ「カフェ・デ・アエル」を併設しています。近頃さらに広くなったフロントロビーで、暖かい季節には蔵前の軒下でオープンし、みやこワークステーションさんによるオリジナルブレンド豆のコーヒーをはじめお飲み物などを提供しています。上映前、そして、観終わったあとの余韻を楽しむひとときに、ぜひご利用ください。

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